◆洛北校校長 高 弘昇
校友の皆様へ

皆様もご存知のように京都コンピュータ学院は日本最初のコンピュータ教育機関として1963年に設立し,以来約60年にわたり,ビジネス社会が必要としている多数の有用なIT人材を育成・輩出し,我が国の情報分野の発展に貢献してきました。

現代の情報社会は,ITの柱になるコンピュータとインターネットを通じて,我々が気づかないうちに膨大な情報を実時間で生み出しています。このような大量の情報やデータは,社会のあらゆる分野で発生している多様な問題を解決するため,情報関連技術とデータの分析技法を用いてビッグデータとして活用されています。また,情報通信速度の高速化と多様な情報端末機器の出現により,ビジネス関連分野だけではなく社会全般に迫ってきた急激な変化に対処するため,情報をうまく取りあげて分析する能力が要求されています。簡単に言えば,現在の情報社会においては多様な社会的変化を理解して発生する問題に対する最適な解決策を見つけ,実行する思考ができる創意的な力量が必要になるのです。

校友の皆様もご存知のように,世界経済は新型コロナウイルス感染症により莫大な損害をこうむる環境に置かれています。ITにおける技術革新はこのような状況においても持続的に行われており,社会に必要なこれまでにないアプリケーションを次々と作り出しています。特に,未来志向の情報社会においては,必要な情報に接続可能な環境の下で,人々が安全・安心な生活ができるようにIT応用技術の開発に関する感性を身につけること,そして各種の問題に対し正確に対処できる能力が絶対的に必要になっています。

現在のビジネス環境に大きな影響を及ぼしている,データサイエンス(Data Science),人工知能(Artificial Intelligence; AI),IoT(Internet of Things)などの情報関連技術は相互に密接に関連しながら,第4次産業革命においてビジネス効果を生み出し,産業界に貢献していることから大きく注目されています。その反面,激しいビジネス環境で競争優位に立つため,これらに関連するIT人材と技術の確保などが必要になり,企業はその対応に追われています。現代のビジネス界の構造は製造業からサービス産業に移行しており,情報関連分野が急速に拡大していますが,必要な人材は大きく不足しています。ITを応用する実践的な訓練に重点を置いた教育を展開して,情報環境の多様化に対応できる中核となる人材を育成する必要があります。

本学院は社会の各分野での情報関連技術の発展のため,ITを取り巻くビジネス環境に役立つ,社会が必要とする有用な人材の育成に力を入れてきました。今後も本学院はITにより変わり続ける厳しいビジネス環境において,企業が必要な競争力を備え持続的な成長ができるように,データサイエンス,人工知能,第4次産業革命に関わる人材の育成に積極的に取り組んでいきたいと考えています。

現在のIT応用分野で活躍されている本学院を卒業した優秀な校友の皆様のますますの発展と健康を祈念いたします。